安野光雅「少年時代」を読んで

図書館の新刊コーナーで掲題の本を見つけ、借りて読んだ。所々に挿絵があって、童話っぽい世界が楽しめそうだと思ったところ、筆者は名だたる絵本画家でかなりのインテリであることを初めて知った。道理で面白そうな文と絵のワケだ。筆者はかれこれ90歳になろうとしているので現役の大長老といったところだが、文章はカクシャクとしていて老いを感じない。およそ50編ほどのエッセイ集で、題名の通り昔話で溢れている。懐古主義的な古きよき時代を偲んだ作かと思しや、そうではなく冷静な目で時空を超えて論評している。いろいろと思いつくがままの挿話風の作品だが、ほのぼのとして心温まる面白い本だった。

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