西川悟平「7本指のピアニスト」を読んで

借りた本を昨日、図書館へ返しに行ったついでに新刊コーナーで掲題の本を見つけた。本人の半生記で「あきらめたらアカン」の前書きにクギ付けとなり、そのまま借りて一気読みした。凄い、面白い。久しぶりに興奮する本だった。ピアノを軸に人との出会い、強運、絶頂、病魔、挫折、不屈、努力、希望、勇気などなど、実体験のてんこ盛りが気取らず控えめに分かりやすい口調で綴られている。偉大な人との巡り会いでは臆せずにチャンスを逃さず、常にポジティブに生きる様は前に読んだ小澤征爾の回顧録に似た想いがした。難病で治る見込みがまるでなく、全く動かなくなった指を壮絶なリハビリで再起を目指すくだりは鬼気迫る迫力だ。このところ行き詰っているピアノ課題曲でスローテンポにさえ乗れないことなどはとても小さく思え、努力すれば内田光子バリのスピードでも弾けそうな勇気をもらった。

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