辻仁成「日付変更線」を読んで

掲題の本は数ヶ月前の新刊リリース時に借りて読み始めたところ、馴染めずに途中投げ出した曰くつきのものだが、やはり気になって読むことにした。著者は今、話題の人で、作家・映画監督・ミュージシャンと多才な経歴の持ち主だ。本作は文体が変わっていて4人の人物がそれぞれ日記風に一人称で綴った面白い作風だ。渾身の長編小説のようで、戦後70周年を記念して苛烈な戦争と向き合った日系二世から日系四世まで、戦時下と現代がミックスして意外な展開をみせる。途中までは冗長な感じがしたが、読み終えてみると、戦争や生死、カルト集団などの主テーマについて、筆者の主張が込められた渾身作であることが頷けた。ちょっと、ご都合主義的なストーリ展開だったのが難と言ったところか..。

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