宮部みゆき「ペテロの葬列」を読んで

杉村三郎シリーズで読み残した第3作目を最後にして読んだ。本作は最新の第4作までの既刊本の中で一番長く、685頁に及ぶ大作だ。2年前にはテレビドラマ化されていて、全11話に及んだようだ。最新作では、主人公は離婚後の探偵となっていたが、本作を読んでようやくその経緯を納得した。巷の読後レビューでは、最後に主人公の離婚に至る展開が最悪な結末として作者批判するコメントが数多く散見される。私にとっては最初からこれが分かってはいたが、むしろこのシリーズの更なる充実を予感できるようで好ましく思えた。大企業の1サラリーマンから満を持した探偵への転進だ。初作の「誰か」から本作まで足かけ10年、作者の壮大なスケール感に鳥肌立つ思いがした。本シリーズの後続が楽しみだ。

カテゴリー: 読書 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。