掲題に付きだいぶ間延びしましたが、シリーズ第3弾は本からの情報です。図書館と言えば全国津々浦々ありますが、この本では全国の気になる図書館情報を一同に介した紹介本です。3章立ての第1章は図書館のみならず、周辺のお楽しみコースまで広げて情報発信していて「図書館をめぐる旅」案内のような心地よさでした。昨今の図書館は単に蔵書を充実させるだけでなく、館の雰囲気や居心地を高めたりしてだいぶ洗練化されてきました。加えて、複合施設として生涯学習や各種イベントの場、そして地域の街おこしまで担ったりと図書館の役割も高度化しました。こうした図書館が周りに整備されてくると、旅の目的に各地の図書館巡りをするのも面白そうに思えてきました。そこで、この本で紹介された中から行ってみたい図書館を5つほど以下に挙げてみました。ご参考まで。
【国際教養大学 中嶋記念図書館】
@ 秋田市
「本のコロッセウム」をテーマに建築家の仙田満氏(東工大名誉教授)が設計。秋田杉と伝統技術を活かした傘型の屋根の下に開放的な空間が広がり、「一度は行ってみたい」図書館。
【十日町情報館】
@ 新潟県十日町市
スロープがつなぐステップフロアの壁面には書棚が続き、本棚に囲まれた迷路のようにも見える。映画「図書館戦争」のロケ地になったことでも有名な図書館。

【小布施町立図書館まちとしょテラソ】
@ 長野県小布施町
様々な趣向が凝らされた建物と空間は一見の価値あり。広場のように人が集う図書館。
【岐阜市立中央図書館みんなの森ぎふメディアコスモス】
@ 岐阜市
館内の美しいインテリア、エリアを優しく包み込む「グローブ」は柔らかな光が回り、これを中心に渦を巻くように書棚が配置されて、本の森へと誘われる。
【金沢市立金沢海みらい図書館】
@ 石川県金沢市
6,000個の円窓を配した斬新なデザインの建物は国内外から注目を浴び、2012年のグッドデザイン賞、2013年の日本図書館協会建築賞など多数の受賞歴のある図書館。ぜひ、行ってみたい。


小説としても画集としても楽しめる人気シリーズ「乙女の本棚」で題記の「檸檬」を図書館から借りて観て読んだ。イラストレーターが描いた絵と小説がコラボした絵本だ。不朽の名作、「檸檬」を読んだのは高校時代、確か現国の教科書に「路上」があった。どこにでもある日常の風景で、普段着の生活の匂いがした極短編の小説ながら、あまりの瑞々しさと切なさに感動して、梶井基次郎の短編を集めた文庫本を買った記憶がある。それの代表作が「檸檬」で、下の写真右の同じ文庫本は平成時代に買い替えたものだ。生涯を通じて何度も読んで、すっかり染みついた感の「檸檬」だが、今回の絵本を読んでちょっと違和感を覚えた。風景を思い描きながら読む小説と違って、最初からありきの風景だからだ。うーん、画集としての楽しみは味わえたが、あまりにクリアとなった風景に小説が少し興醒めする思いをした。同じシリーズ、もう1冊借りた別の名作は後日、ブログ投稿したい。
この作家の小説を読むのは2度目で5年ぶりだ。前回の時は好印象の記憶があって、今回も期待して読んだ。題記の小説は明治が時代背景で、7つの短編集だ。連作短編ではないものの、いくつかの短編の中に同一人物が何人か登場する。いずれの短編も女性が主人公で、いろいろな悩み事の解決に占い師を頼っていくストーリ展開だ。女性心理をうまく捉えて表現してなかなかの筆舌に感心したが、今さら調べたら筆者(きうちのぼり)が女性であることを知って府に落ちた。7つの短編全てが占いごとをテーマにしているが、一つ一つが個性ある占いに帰着していて飽きることがなく、十二分に推敲された構成に感心した。文体のフィーリングも心地よく、冒頭抱いた期待を裏切ることなく面白く読めた。












