題記のYouTube動画を最近見つけました。ご存知、リスト作曲の超絶技巧ピアノ曲で、これを9人のピアニストを一堂に介して聴き比べるものです。右の画像にリンクを貼りましたので、まずはクリックしてみてください。私はこの1月ほど、イヤホンやヘッドホンでこの動画を再生してきました。でもいまひとつ迫力がないので、今日はスマホの動画をテレビに映し出し、オーディオセットにデジタル出力して、コンサートホール並の雰囲気でじっくり試聴して見ました。9人全員が世界をリードするピアニストでその演奏は素晴らしく、批評めいたコメントは全くの場違いですが、敢えて私情を交えた感想を下記したいと思います。一応、左下の画像や演奏者名をクリックすると、各ピアニストの演奏に動画がジャンプするように設定しました。以下、簡単な来歴と聴き比べの独断寸評です。
![]() | No.1 ヴァレンティーナ・リシッツァ ウクライナ生まれ。YouTube投稿を機にアマゾンでの売上が急増し、世界的な名声を得る。 繊細の中にも歯切れがよく、強弱が自然で優雅。 |
![]() | No.2 ラン・ラン オーケストラとの共演で売れっ子の中国人ピアニスト。 1音づつ置いた感じの調べが機械的な演奏に聞こえ、オーバーアクションが如何にも物見世的だ。 |
![]() | No.3 ジョルジュ・シフラ ハンガリー出身。超絶技巧派で名高く、リストの再来と呼ばれた。 作曲家「リスト」の時代を彷彿させるような古さで、より原曲に近い演奏のようにも思える。 |
![]() | No.4 チョ・ソンジン ショパン国際ピアノコンクールで優勝、圧倒的な才能と生来の音楽性を持つ韓国人ピアニスト。 柔らかく丁寧な演奏で、外向きに攻めるのではなく内面をえぐるように次第に盛り上げていくのが凄い。 |
![]() | No.5 ダニール・トリフォノフ ロシア生まれ。ショパン国際ピアノコンクールで3位、チャイコフスキー国際コンクールで優勝の実力派。 ショパン的な詩的情緒に溢れ、飾らないところが爽やかで好感。 |
![]() | No.6 ユンディ・リ ショパン5年毎の国際ピアノコンクールで連続途絶えていた第1位を15年ぶりに獲得し、注目を浴びた中国人ピアニスト。 ナチュラルな表現がとても魅力的、次第に感情移入していくがアクがなく返って爽やかな感じ。 |
![]() | No.7 ドミトリー・シシキン ロシア生まれ。 チャイコフスキー国際コンクールで2位、若手期待のピアニスト。 優等生的正確さ、ある種のクールさがほとばしる感じがする。 |
![]() | No.8 フジコ・ヘミング スウェーデン国籍で母は日本人ピアニスト、父はスウェーデン人画家。聴力障害に生涯悩みながらも活躍。 ややスローテンポが細部を明らかに物語るようで、さすが円熟したカンパネラの大御所を感じさせる。 |
![]() | No.9 辻井伸行 1988年生まれのピアニスト兼作曲家。 高音を抑え気味で、強弱を随所に付けてやや説明的な感じ。インスピレーションが湧かず、ちょっと評価が難しい。 |
この動画の一般の方からのコメントでは、多くの人がNo.8とNo.9に好みが集中しているようです。私の好みでは、1番がNo.6のユンディ・リ、そして2番はNo.1 のヴァレンティーナ・リシッツァとなりましょうか。こうして世界のTopアーティストを好き勝手に批評したりできるのもこの細々とした当ブログありきで、一人悦に浸って楽しんだりしております。では、また。









小川洋子が選んだ16篇からなる短編集で、各編とも彼女の解説エッセイが付いている。収録された短編は半分以上が名前も知らない作者で時期も明治から平成まで、私小説から幻想的作品までバラエティに富んでいる。どのような基準で選んだのかよくわからないが、共通して言えそうなのが「動物」、生き物たちの活躍だ。時空も場所も違う短編に次々といろんな生き物たちが登場し、何だかよくわからないうちに玉手箱の中のようにそれぞれが生き生きと馴染んできた感がした。そして読み終えたときの小川洋子の解説エッセイがよい。彼女の陶酔具合がひしひしと伝わってきた。何やらこの「短篇箱」は2篇目で、”陶酔”の前に”偏愛”もあることを知り、また楽しみが増えた。


筆者のフルネームはエリック・エマニュエル・シュミットで、ミドルネームを記さないとGoogle社の創設者の方を連想してしまうが、本書の作者は仏人で現代フランスを代表する劇作家のようだ。図書館の新刊コーナーで見つけ、題名と出版社が音楽之友社、そして訳者がパリに在住する現役のピアニストであるのも気になって借りてみた。どうやら筆者はアマチュア・ピアニストとしても有名で、本書は自身の半自伝的小説のようだ。若い頃にピアノの指導をしてもらったマダムとの交流が描かれているが、このマダム・ピリンスカは実在人物ではなく架空の人らしい。どうして自伝小説なのかよくわからないが、音楽に傾注し特にピアノに関わる自身の主張が随所に感じられた。ショパンが如何にピアノの果てしない世界だけを一途に追い求めていたのか、他の作曲家との違いが浮き彫りにされたことを実感した。いつしか物語に引き込まれ、音楽のみならず人生観や世界観までテーマが拡張していることに驚いた。120頁ほどの短い小説ながら充足した読後に浸れた。脱線するが、先日記した「チャルダッシュ」は無数の楽器でこなされ、私の好きなバッハの「ゴルトベルク変奏曲」やモーツァルト「トルコ行進曲」などはアンサンブルで演奏されたりもする。でも、ショパンの曲はピアノ以外で演奏されることはまずないのも本書からうなずけた。





















