高木裕「今のピアノでショパンは弾けない」を読んで

20131128-2この本は音楽評論家ならぬピアノ調律師が著したもので、図書館の新刊コーナーで題名に惹かれて立ち読みし、そのまま借りて一気に読んだ。ピアノの裏話と言うか、今まで知らなかった実体が見えて面白かった。最も意外だったのはピアニストはピアノを選ぶ、それもスタインウェイと言うメーカーにこだわっていると言うことだった。今まで天才ピアニストはどんなピアノでも、調律さえ完璧ならば自由に弾きこなせるものだと思っていた。ところがピアノ個々には弾きにくい、音が出ない、鳴ってないなどの固有差があって、同じピアノは2台とないようだ。しかも、技術革新の現代よりもラフマニノフが生存していた頃の巨匠時代の方が、素晴らしいピアノが多かったようだ。なに分、モーツァルトやベートーベン時代のピアノは音量も小さくサロン中心の小規模な場で演奏されたが、巨匠時代のピアノになるとカーネギーホールのような3000人もの聴衆の前で、ppppからffffのワイドレンジがホール隅々まで鳴り響くまでに改良されたようだ。巨匠の一人、ホロビッツはスタインウェイ社と契約して一番気に入ったピアノを最高の状態に維持させて独占使用し、コンサートの度に世界各地にこのピアノを持ち出したとのことだ。こうした裏側の話が多く語られていて、読むに飽きない書物だった。とは言え、著者が以下に記した音楽観は独特なものがあり、私にとってはとても違和感があった。

『クラシックと呼ばれる西洋音楽は、その時代、時代で国を越えて常に新しい音楽形態を求めて形を変え「進化」してきました。クラシック音楽は芸術と言われる所以がそこにあります。形を変えずに同じことを繰り返していくことは芸術ではありません。芸術は、常に新しいことに挑戦していかなければなりません。』 私にとっての芸術は至福の歓びや感動を与えるものであって、「進化」、「挑戦」、「不動」、「普遍」などの言葉で置き換えることのできないものと思っている。

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HP、北アルプスGalleryの一部見直し

20131128-1以前のブログ登録でヤマレコの紹介をしました。その応用として、本ホームページの北アルプスGalleryのデータを一部更新して、3Dイメージを追加しました。添付画像のGallery見出しから更新した鹿島槍ヶ岳焼岳のそれぞれをご覧ください。

 

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末國(編集)「小説集 黒田官兵衛」/渡邊 大門「黒田官兵衛 作られた軍師像」を読んで

壮年期は秀吉に、晩年は家康にも仕えた「黒田官兵衛」に関する題記の2冊を読んだ。

「小説集 黒田官兵衛」は近世の著名作家6名(菊池 寛、鷲尾 雨工、坂口 安吾、海音寺 潮五郎、武者小路 実篤、池波 正太郎)が著した小説を1冊に集めたもので、それぞれが官兵衛を主人公とする独立した私小説であり、とても伝記物とは言いがたい。描く人物像も6人十色(?)で、読後イメージできる官兵衛とは一体、善人か悪人か、上位に忠誠心があったかなかったか、英雄なのか策士なのか、理解しようとすればするほど判然としない。要は人名と地名の実名を使いつつ、各著者が思い描く自由小説で黒田官兵衛を知るための小説ではないことはうなずけた。

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「黒田官兵衛 作られた軍師像」は歴史学者が著したもので、戦国武将の黒田官兵衛について現存する資料を吟味し、広く信じられている官兵衛像の定説がどこまで信憑性があるものなのかを丁寧に検証している。子息の黒田長政についても多くのページを割いて、黒田家譜のリアルな人物像を描くことを主眼点にしており、官兵衛の実像を計り知るには適当な書籍だと思う。但し、検証ベースとした歴史資料自体にも信憑性の問題が多々あり、果たしてどこまでが真実かは予断できない。来年のNHK大河ドラマにもなって、巷には黒田官兵衛なる書物が何十冊も出回っているが、いずれもフィクション書籍であって、作られた軍師像には違いない。

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安曇野絵本館

20131125-1今日は冷たい雨の日。こんな日は家で静かにくつろぐのもよいけど、昼間っから温泉でじっくりと温まるのも然り、と家族で近場の穂高温泉郷に行きました。汗をかいたところで、近くのレストランでイタリアンを頬張ばると、にわかに元気が出てきました。と言ったあん配で、題記の絵本館に立ち寄りました。
ここは絵本を愛するオーナーが運営する大人のための絵本美術館。生い茂る森の中にひっそりと佇む館にはただならぬ静寂感が漂います。館内では海外の絵本作家の原画コーナーを中心に季節毎の企画展が開かれ、センスのよい美術品やオブジェが展示品を引き立てています。そして、吹き抜けの2階は世界中の絵本、童話が集められた本屋になっていて、静寂にまかせた長い立ち読みでお気に入りがあれば、購入もできます。今日はあれもこれもと悩んだ末、ショーン・ターンの『アライバル』と言う文字なし絵本を買いました。本を購入するのはこちらに移住以来、実に2年振りです。図書館で借りるだけが本ではないことを想い知った1日でした。

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ゆるキャラ2013、発表!

20131124以前のブログ投稿で話題にしましたが、本日、2013年ゆるキャラ・グランプリの発表がありました。投票総数は1500万票と、昨年から倍増したそうです。わが長野県勢は最高順位がアルクマの26位で、100位内には3体が入り昨年並の結果でした。第1位は120万票も集めたとのことですが、数値競いばかりに圧倒され、かえって地味なキャラを静かに応援したくもなります。負け惜しみのようですが、志賀高原の「おこみん」には、今シーズンも出会えることを楽しみにしています。

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近場の光城山に登りました

20131123今日は朝から好天で見晴らしも好く、家族3人で近くの光城山(ひかるじょうやま)にランチ・ハイクしました。山頂からの眺望も良好で、槍ヶ岳も針の先ほどに見えました。添付の写真は左隅の有明山から北方の山々を眺めたもので、白馬山系も冬山の如く澄み渡っていました。ネット情報では、本日から八方尾根、五竜、栂池高原の各スキー場がオープンしたとのことです。いよいよ、山登りからスキーへの切替ですね。

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安曇野市豊科近代美術館、フランス絵画展

20131122題記の美術館で開催中の「20世紀フランス絵画展」を本日、家族で鑑賞してきました。この美術館では大展示室を増設した新館竣工記念として、安曇野市の月刊広報紙に刷り込まれたチケットを持参すると、2名まで無料入場できます。2名を越える分は常時使える割引(団体扱い)があって、知っているとちょっぴり得ですね。この美術館は1階が常設コーナーで、近代彫刻の「高田博厚」と森鴎外ゆかりの画家「宮芳平」の絵画作品などを常設展示していて、これは以前にも鑑賞しました。2階は特別企画のコーナーで、他館のコレクションを定期的に取り扱っていて、今回は山形美術館が所蔵する20世紀フランス絵画を代表する画家の作品が展示されていました。巨匠1人に1点ほど、計61点の名画を楽しみました。近代巨匠の多くはあまり馴染みがありませんでしたが、印象に残った絵は古くから知っていたブラマンクの「雪の道と家」でした。久方ぶりに静なる興奮を味わいました。絵画もいいものですね。

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豪商の館、信州須坂「田中本家」

20131121昨日、北信からの帰り道に須坂の博物館「田中本家」に寄ってきました。江戸中期以降に北信屈指の豪商として栄え、その家屋敷3000坪が20年前から博物館となった所です。外観だけではなく田中家代々の調度品や生活品などの多くが保存状態もよろしく展示され、近世の正倉院とも呼ばれているそうです。折しも園庭の樹々と里山に下りてきた紅葉とが織りなす情景が素晴らしく、野点の椅子でくつろぐとまるで、主になった心地よさでした。

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北信、地獄谷野猿公苑に行ってきました

20131119長野県は南北に3つのエリアに分けて、それぞれ北信、中信、南信と呼ばれていることは多くの方がご承知のことと思います。北信は長野市を中心とした北部ですが、親戚と家族の3人で北信の温泉と付近の名所を1泊2日で巡ってきました。山岳エリアの各スキー場はゲレンデの白さが目立つようになり、もうすぐ一斉にオープンする気配でした。移動中、湯田中温泉の先にある地獄谷野猿公苑(じごくだにやえんこうえん)に行ってきました。猿が温泉に入る場所として世界的に有名になり、私自身、野生動物が温泉に入ることは習性と思いしや、そうではないことを今回初めて行って知りました。この公苑を紹介したサイトでは『野生動物が温泉で傷を癒したとか言う民話や伝説が各地にありますが、どれも神話の域であり、昔からサルたちが温泉に入っていた訳ではありません。地獄谷のサルたちが温泉に入る行動を得たことは、餌づけによってサルたちの生活にゆとりが出来たこと、地獄谷の冬の寒さ、近くに旅館の露天風呂があったこと、いくつかの状況が重なって生まれた極めて特殊な行動なのです』と、ありました。実際に現地に行ってみると、百匹を越えるたくさんの猿がいましたが、温泉には入っていませんでした。係の人に聞くと、『まだそう寒くなっていないので、温泉には入らず、舐める程度』とのことでした。猫舌ならぬ猿舌で、のんびりと温泉湯を呑んでいました。この露天風呂は猿がいるだけのありふれた感がしましたが、それを取り囲む人垣には外国人が多く、インターナショナルな名所なのでしょう。

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晩秋の穂高、土日散策

20131117晩秋の良き日、迫り来る冬を前に近場を散策しました。今週末には第1回の新そば祭りが穂高神社で開催されました。穂高神社には自宅から徒歩15分ほど、そこから更に15分程度で安曇野中央図書館です。ここでは丁度、文化祭をやっていました。図書館からは戻ること20分で自宅です。散歩するには程よく、昨日の土曜日にぶらり周遊しました。そして、今日は高橋節郎美術館に出かけました。徒歩で小1時間弱の距離ですが、少し風があったので車にしました。きのう今日と文化に触れ、それぞれの雰囲気を楽しみました。出会った光景を16枚の写真にコメントしましたので、画像をクリックしてご覧下さい。

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