蝉谷めぐ実「見えるか保己一」を読んで

先般の直木賞にノミネートされた題記の小説を読んだ。塙保己一(はなわほきいち)は江戸時代の国学者で、全盲ながら天才的な記憶力で重要な古典文学を編纂した歴史上の人物。ヘレンケラーが大絶賛した人物とも言われ、本書を通じて保己一の生い立ちや国学者として名をなし歩んだ人生を知ることができた。併せて、全盲の人がこの時代にどうして偉くなれたかも知り得た。総検校(そうけんぎょう)と言う盲人官位の身分制度が家康以来からあって、その最高位に上り詰めたことで農民の出ながら武士の旗本相当以上の待遇を受け、将軍にも謁見できたという。ただ、本書の描きたかったのは単なる歴史書ではなく、「聖人にしたくない、聖人なんてありえない」という作者観点があって、だいぶフィクションの領域まで踏み込んだ書きっぷりに見受けられた。その分、最初の章立てあたりは面白かったが、最後の5、6章は作者の思い入れが強く読みにくく理解しにくかった。

安曇野の風 について

安曇野に巣くう極楽トンボ
カテゴリー: 読書 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。